Concept
きれい・ねっとが見つめるこの星の未来
あなたにとって
「本」とは何でしょうか?
きっと
本を書く人の数だけ
本を読む人の数だけの
答えがあるのではないかと思います。
「本」のルーツはおそらく
時間や場所を超えて
どうしても伝えたいことを
石や木や、羊の皮などに
消えないように大切に刻んだもの。
歴史は流れ
手書きの写本が版画となり、
印刷技術が発展し
多くの人が新たな情報や想いを書き綴り
その数だけの「本」が生まれ……。
いまでは書店に行けば
一生かかっても読みきれないほどの
多くの本が並ぶようになりました。
そんな中で
きれい・ねっとは
いまのあなたにとって大切な
そして、できることなら
読み返すたびに新たな発見のあるような
ほんとうの「本」を
書き手とともに丁寧に創り
あなたのもとへお届けしたいと願っています。
はじめて開かれるもの
いまや情報を伝える媒体は数多く存在しますが
「本」という存在は
他のそれとは一線を画しているように思われます。
ひとつの事柄やストーリーについて
密度高く、圧倒的な情報量が
しっかりと練られ、丁寧に紡ぎだされている。
そんな「本」は
パッと手軽に短時間で
理解や感動が与えられるものではなく
読み手の「読みたい」という強い気持ちに
すべてがゆだねられているもの、
ともいえるでしょう。
何事にも効率優先の現代社会では
そんな「本」を読む人が激減しているというのも
無理からぬ流れなのかもしれません。
けれどいま、時代は大きな変化の時を迎え
現代社会の中でよしとされてきたやり方だけでは
何もかもが立ち行かなくなりつつあります。
より速く、より多くと
一方的に流され続ける情報の海に溺れて
自分を見失っている人も
多いのではないでしょうか。
人生を楽しみたい。
美しい想いに触れたい。
未知なることや真理を学びたい。
なんとか問題を解決したい……。
あなたが自ら望んでページを開いたとき
はじめて「本」は
あなたに必要な言葉を届けることができるのです。
まっすぐに届ける
「本」は単なる情報の寄せ集めではなく
書き手の想い、エネルギーがこめられたもの。
けれど、それは決して一方的なものではなく
そこには読み手の想像力にゆだねられる
余白があります。
自分で作品を選び
自分のペースで読み進め
自分なりに理解を深めていくことができます。
気に入った部分だけを読むこともできるし
声に出して味わうのもいい。
「本と出逢う」という表現があるように
「本」はさながら人格を持っていて
逢うことの叶わない、はるか遠い存在とも
時空を超えて
親しく対話を重ねていくことのできるもの。
そして、その出逢いは
時に人生を大きく変えることさえあるのです。
きれい・ねっとでは
本文の内容はもちろん、
タイトルや装丁デザイン、印刷に至るまで
書き手の想いがまっすぐに表現される
ほんとうの「本」となることを目指して
話し合いを重ね、大切に言葉を選び
1冊ずつ丁寧に本創りを進めています。
あなたと「本」とのすばらしい出逢い
その良き懸け橋となることができれば
わたしたちは本当に幸せです。
違いを認め合う第一歩
きれい・ねっとの本は
医療、科学、芸術、歴史、経済……
分野は様々ながら
スピリチュアルなタイトルが多いのですが
特別な専門があるわけではありません。
想いの詰まった深く濃い内容の本が多いと
よくお褒めいただくのは
ご縁をいただく先生方が
ご自身の表現を心から楽しみながら
それぞれの専門分野の知識や情報を
出し惜しみなく開示してくださっているから。
ただ、多くの本を創っていく中で
時には見解が大きく相違する内容もあり
出版社としての姿勢を問われることがあります。
でも、そんな問いに応えるまでもなく
当の先生同士がお互いを尊重しあうことはもちろん
好奇心旺盛な子供たちのように
無邪気に学びあう姿に
わたしたちは幾度となく遭遇してきました。
意見の相違からくる活発な議論はあっても
特定の個人や団体、考え方等について
一方的で攻撃的だと感じられるような
表現や内容の本が創られることがないのは
ある意味、当然のことなのかもしれません。
誰もが願う幸せな未来。
けれど、そこに至る道は
この地球に生きる人の数だけ存在しているもの。
本を通じて様々な道を知ること、学ぶことは
地球という大きなコミュニティの中で
同じ時代を生きるわたしたちが
「ねばならない」といったこだわりを外し
違いを認め合いながらゆるやかにつながり
自分らしい道を歩んでいく
大切な一歩ともなると、心から信じています。
当たり前に大切にする世界へ
サン=テグジュペリによる
『星の王子さま』という物語をご存じでしょうか。
1943年に発表されて以来、
200以上の国と地域の言葉に翻訳され、
世界中で総販売部数1億5千万冊を超えて
今もなお愛され続けている
この小さな物語で幾度となく語られるのは
「いちばん大切なことは、目に見えない」
ということ。
これまでわたしたちが生きてきた資本主義社会は
誰にでも理解できる、
目に見えるものにしか適用できない
「数」というものさしで豊かさを測り、
より多く、より速く、より強く……
競争し比較し、勝つことを至上とするものであり
この流れに乗って生きることで
わたしたちは計り知れない恩恵を
受けてきました。
けれどその反面
数えることのできない目に見えないもの
理解することのできない未知なことは
無視され、軽んじられるようになり
いま、目に見えない多くのものが
失われつつあるように感じられます。
でも、わたしたちはきっと
目に見えないことの中にこそ
いちばん大切な真実があることを知っています。
科学、医療、政治経済、そして日々の暮らし
あらゆる活動のなかに
大げさではなく当たり前に
「見えないもの」は息づいています。
「本」の中に宿る想いやエネルギーを通じて
「見えないもの」を当たり前に大切にする
そんな世界を創っていきたいと
わたしたちは本気で願っています。
著作権を放棄する理由
きれい・ねっとの代表的な作品のひとつに
「天使の着ぐるみ」という小冊子があります。
著者であるおにいるそうこさんが
ブログで発表されたこの物語は
短編ながら心の奥深くに響く内容で
瞬く間に多くの皆さまに
読まれるようになりました。
そして縁あって、
きれい・ねっとで冊子化することになったのですが
そのときにわたしたちは、ある約束をしました。
それは
他媒体での「全文掲載」を認めるということ。
そして、このことがきっかけとなって
きれい・ねっとは全著作について
出版社として「著作権の放棄」を
行うに至ったのです。
わたしたちは
先生方の想いや有益な情報に
少しでも多くの皆さまが触れてくださることを願い
そのために本を創っています。
そんなわたしたちが自らの権利のために
制限を設けることはしたくない。
常識では考えられないことかもしれないけれど
わたしたちにとってはごく自然な決断でした。
大切な情報が、さまざまな発信によって
自由に伸びやかに広がっていくこと。
それがきれい・ねっとの
そして、新しい時代のやり方なのだと
思っています。
なぜ危機を迎えているのか
少し専門的なお話になるのですが
本の販売は通常「出版流通」と呼ばれる
独自の流通システムによって行われています。
未曽有の出版不況と言われている昨今でも
雑誌等も含めて1日に約200タイトル、
総発行部数10万部単位の本たちが
全国1万を超える書店の規模や売れ行き等に応じて
効率よく、偏りなく届くようになっており
どこに住んでいても素敵な本と出逢えるのは
このシステムのおかげであると言えるでしょう。
ただ、2020年現在、きれい・ねっとでは
この流通システムを積極的には利用しておらず
読者の注文によって本が書店に届く
注文販売のみ対応しているため
書店に本が平積みされることは
ほとんどありません。
実は、書店に届けられる本のうち
売れ残り、出版社に戻される本(返本)が
もう20年以上にわたって
全体の40%を超えるような状況が続いており
しかも、それらのほとんどが廃棄されていることが
大きな問題となっているのです。
多くの返本による損失を埋めるために
次々と新刊を発行せざるをえないという
悪循環に陥っている出版社も
少なくないといいます。
販売部数は年々減少しているにもかかわらず
「売れさえすればなんでもいいのか?」
と思うような本が散見されるとも言われる
危機的状況に
業界全体の抜本的な変革が
必要な時を迎えていることを強く感じます。
つながり新たな仕組みを創る
文化文明を支えるはずの本たちが、
大量生産大量消費という
資本主義の波に飲み込まれ、
信じられないほどの「ゴミ」となり
環境破壊につながる事態となっている……。
出版社を立ち上げた当初の数年間
わたしたちは大きな葛藤を抱えながらも
書店に並べられることを目標に活動していました。
けれど、営業のいない小さな出版社の本が
書店に平積みされることは難しく
誰にも読まれることなく
返本された本の山を目の前にした時には、
ほんとうに、涙が止まりませんでした……。
そしてその時、思ったのです。
もう、こんなことは止めようと。
いまのわたしたちの目標は
良き本を創り必要な方のもとへ届けること。
ネットショップでの直接販売を中心に
返本率が3%前後のAmazonとの
直接契約による販売
また、2020年からは電子書籍化も
積極的に行うなど
できることから少しずつ、
そのための歩みを進めています。
やがて周りの景色は確実に変わり
きれい・ねっとの本を読んでくださる方は
日を追うごとに増えています。
ただ、わたしは今も「本屋さん」が大好きです。
素敵な本との出逢いは、
やはり何物にも代えがたいもの。
出版業界の中にもきっと
同じように本を愛する人がたくさんいらっしゃり
それぞれの立場で様々な問題と向かい合い
尽力されているに違いありません。
わたしたちも良書を創り続けながら
いつか、いえ、きっとそう遠くない将来
立場を超えて本が大好きな皆さまとつながり
常識にとらわれないやわらかな発想で
新たな仕組みを創っていきたいと願っています。
新たなる価値の創造
きれい・ねっとの本創りの特徴は
印刷工房を併設することによって
多くの書籍を内部製作しているという点です。
大量生産には向いていないものの
パソコンからデータを直接送り
高細密トナーによる
レーザープリンターで出力することで
1冊から短時間で本を製作することのできる
「オンデマンド印刷」を採用しています。
Amazonが本格的に参入するなど
徐々にメジャーになりつつある
オンデマンド印刷(POD)による本創り。
実はわたしたちは
おそらく西日本では初めて機器を導入し
かつ、小規模ながらDTPデザインから
印刷、製本やカバー巻き等
書籍製作の全行程を内部で行っている工房は
当時はかなり珍しかったようで
驚いた東京のメーカーが視察に来るほどでした。
40年以上印刷に携わってきたわたしの両親の
紙や印刷、DTPデザインに関する知識と技術、
そして新しいテクノロジーへの好奇心とチャレンジ
なにより本を創ることへの情熱が
たしかな礎として
きれい・ねっとの本創りを支えています。
わたしたちはいま、メーカーとも歩調を合わせ
「クリエイト・オンデマンド」をテーマに
オンデマンド印刷に情報を伝達するだけではない
新たな価値を創造しようと
様々な取り組みにチャレンジしています。
けれどその流れは
決して突然にはじまったものではなく
過去からつながる想いの延長上にあることを忘れず
心からの感謝と敬意を表したいと思います。
できること
きれい・ねっとの書籍の本文用紙には
東北の製紙工場から届く書籍用紙を
使用しています。
淡いクリーム色でやわらかな質感の書籍用紙は
目にも手にもやさしく、耐久性にも優れています。
長年にわたり
日本の出版業を支えている東北の製紙産業。
ところが東日本大震災の時、
津波で設備がほぼ全壊し
出版業界は深刻な紙不足に陥りました。
そんな中、日本製紙石巻工場は
電気もガスも水道も
復旧の見通しが立たない状況から、
なんと半年後、2011年9月に
「石巻工場8号抄紙機」の操業を
再開させたのです。
「この工場が止まるときは、
日本の出版が倒れるとき」という矜持が
彼らを支えたという言葉に
それに応える出版社でありたいと
心を新たにしたものです。
わたしたちは、そんな思いの詰まった国産の紙を
無駄にすることなく大切に使うために
用紙をなるべく統一することで
紙を余らせることがないように
工夫を重ねています。
表紙の厚紙については一手間かけてしおりを製作し
皆さまにプレゼントしてお役立ていただき
それでもどうしても出てしまう
紙の切れ端については徹底した分別を行い
上野紙料株式会社に依頼して
そのほぼ100%をリサイクルしています。
また、2020年秋から
中越パルプ工業株式会社によって開発された
日本の竹100%による「竹紙」や
間伐材を使用した用紙を積極的に活用するなど
本を創ることそのものが
循環型社会の実現への貢献となることを願い
できることから着実に実行に移しています。
未来を創る魔法
ここからは、
すこし不思議なお話をさせてください。
「はじめにことばありき」
世界一のベストセラー「聖書」に書かれている
とても有名なフレーズです。
また、古代日本では
言葉には不思議な力が宿るとされ
それを言霊(ことだま)と呼んできました。
たとえば
目の前に椅子があったとしましょう。
もし、あなたが「椅子」という言葉、
その意味を知らなかったなら
それはただのガラクタの寄せ集めにすぎません。
言葉には、そのものの意味を定義し
その意味を多くの人と共有するという役割があり
極端に言えば
言葉で表すことのできないもの
あるいはまだその言葉を知る人がいないものは
まだこの世界には存在しないもの、とも言えます。
飛行機も宇宙船もスマートフォンも
それらがまったくの未知の頃に
だれかがそれを思い描き「ことば」にすることで
そこにエネルギーが宿り
それが具現化への道のりの第一歩となってきた。
そうしてこの世界に様々なものが生み出され、
人類は進化を続けてきたと言っても
過言ではないのかもしれません。
そして、このことを思うとき
「想い」というエネルギーの宿る「ことば」は
この世界の未来を創る魔法だと
わたしにはそんなふうに思えてならないのです。
コミュニティ
いままさに社会は大きく揺れ動き
これまでの価値観では予測することのできない
未知なる時代にわたしたちは生きています。
資本主義社会が限界を迎え
家族や所属する団体、地域や国
これまで私たちを守ってきてくれたものが
大きな音を立てて崩れつつある……。
そんなことを感じると
不安や恐怖、焦りや悲しみ、怒りといった感情に
心が占領されそうになるかもしれません。
けれど、そんな感情からすこし離れて
大きな流れで社会を見てみるとき
これまで絶対に崩れなかった分断の壁が壊れ
それぞれが自立し
それぞれの責任によって
想い、学び、選び、居場所を創り、
ともに生きる人々と愛をもってつながり
分かち合って生きることのできる
新しい時代を始めるチャンスの時がきていると
捉えなおすこともできるのではないでしょうか。
古代からの叡智、
自然に宿る神性、
進化する科学技術……
それらすべてを愛と感謝をもって分かち合い
すべての境界を超えて
真実の「ことば」でゆるやかにつながり
美しいこの地球の未来を創る
そんなたしかなビジョンを持ちながら
きれい・ねっとは「本」を創っていきます。
「この星の 未来を創る 一冊を」
ここまで読み進めてくださったあなたととも
愛をもって、軽やかに楽しく
新たなる時代を創り、歩みを進めていければ
これほど幸せなことはありません。
出逢ってくださって
そして、最後までお読みくださって
本当にありがとうございます。
あなたといういのちが
愛と輝きに満ちたものでありますように。
心からの愛と感謝をこめて
きれい・ねっと代表 山内尚子